呼吸器内科では、常に患者様の立場を尊重した、適切且つ最高の医療を提供するように心がけております。多摩地区の中核となるべく、専門性を要する肺癌、悪性胸膜中皮腫、肺腺癌といった悪性疾患、難治性咳嗽、喘息、COPD、間質性肺炎といった慢性肺疾患や肺炎、膿胸などの感染症、その他稀少疾患などの多岐にわたった診療を行っております。現在7人のスタッフ、研修医を含め合計8~10人の診療体制で活発に業務にあたっております。
日常診療では、週1回入院患者様についてのカンファレンスをレントゲン・CT・検査結果等を供覧しながら討論しております。その他呼吸器内科・外科合同カンファレンスでは、呼吸器外科や放射線科、病理検査室など他の診療科をまじえ、難治症例や稀少疾患について、手術適応などの治療方針の総合的検討も含めて積極的な討議を行っております。国内外、他施設共同研究、会議、学会など臨床研究も積極的に行っております。このような中で最近の医療技術や知識を日常臨床に反映し患者様に還元できるよう日々鋭意努力しております。
わが国の悪性腫瘍で肺癌は発生頻度が高く、依然として死亡率の高い疾患です。肺癌の治療方法には、手術、化学療法(抗がん剤治療)、放射線治療、緩和治療がありますが、肺癌の組織像や進行の程度により、個々に適切な治療法を選択していきます。肺癌に対する化学療法は年ごとにめまぐるしく進歩しています。分子標的薬や免疫チェックポイント阻害剤など最新の治療を取り入れ診療にあたっております。
気管支喘息は、気管支の炎症と気管支の平滑筋の収縮にともなって空気の通り道が狭くなり、ゼーゼー、ヒューヒューという音とともに発作性の息苦しさを感じる病気です。深夜から明け方にかけて悪くなり、昼間は比較的改善することが多く、長引く咳も喘息である可能性が高いです。気管支の炎症を抑える吸入ステロイドや気管支を拡げる気管支拡張剤を用いた吸入法を中心に治療を行っていきます。
COPD は40歳以上で喫煙歴の長い方によくみられる疾患です。坂道を昇るとき息苦しく感じたり、咳や痰が多いなどの症状がある場合はCOPDがあるかもしれません。 空気の通り道である気管支やその先にある肺胞に炎症があり、肺の構造がゆっくり壊れてしまった結果、呼吸機能が低下する病気です。第一の治療は禁煙です。第二の治療は薬物療法です。第三に生活の質の向上を目指して、在宅酸素療法の導入や、急性増悪を予防する目的でインフルエンザや肺炎球菌のワクチンの接種もお勧めしています。気管支喘息と合併することも多く、吸入療法を主体にした治療を行います。
間質性肺炎/肺線維症は、肺の構造が徐々に硬くなっていき、肺が縮まり酸素の取り込みが悪くなる病気です。原因不明のものを特発性といいます。 その他薬剤性のものや、粉塵吸入による職業性のものやリウマチ・膠原病に伴っておこるものなどがあります。難病にも指定されている疾患でもあり、完治するのは難しい病気でありますが、抗線維化藥、ステロイド、免疫抑制剤、在宅酸素療法など様々な治療による生活の質の向上を検討して対応しております。
肺気腫や間質性肺炎など何らかの原因で肺に障害が生じると体内に酸素を取り込む効率が落ちます。これが進行した場合、普段の日常生活でも酸素療法が必要となります。これが在宅酸素療法です。種々の疾患にともなう慢性呼吸不全では、在宅酸素療法により生命予後が改善されることが明らかとなっています。
細菌やウイルス感染によって肺胞に炎症が生じたものを肺炎といい、発熱や倦怠感などの全身症状、咳嗽、喀痰、呼吸困難などがみられます。細菌性肺炎、ウイルス性肺炎、異型肺炎といった病原微生物による分類や市中肺炎、院内肺炎、介護医療施設関連肺炎といった分類などがあります。喀痰の検査をして原因菌を調べ、その菌に対して効果のある抗菌薬を投与します。
肺を包む臓側胸膜の外側で、肋骨や筋肉に囲まれた胸腔に水溶性物質が貯留した状態をさします。癌、結核、肺炎、外傷などが原因となります。胸水を採取して調べたり、胸腔鏡という内視鏡を使って胸の中を調べたりして診断します。
肺の表面に穴が開いて空気が漏れだしてしまうもので、生まれつき肺の表面に破れやすい構造をもっている時におこるものを自然気胸、肺気腫や間質性肺炎といった肺病変を基盤として生じたものを続発性自然気胸と呼びます。
どちらもレントゲンや呼吸状態にて判定した重症度に応じて治療を行います。軽度症例の場合は安静に生活を送りながら外来通院にて検査を実施しつつ経過観察を行うこともありますが、中等症・重症の気胸になると、胸腔内へチューブを挿入し、胸腔内に漏れ出た空気を脱気することが必要となります。重症例や再発を繰り返す場合は胸膜癒着術や外科手術の適応となります。
肺感染症、血痰の精査、肺癌の診断などを目的に行います。苦痛をできるだけ減らせるよう点滴で浅く寝て頂きながら行うようにしています。
【令和5年度呼吸器内科】診療実績
平均入院患者数/日:31.1名(延べ 11,395名)
平均外来患者数/日:57.8名(延べ 14,036名)
気管支鏡検査数(計):191件
胸腔鏡検査数(計):1件
気道内ステント挿入検査数(計):1件
2017年度より、内科後期研修プログラムが導入されます。総合内科3年コース以外にも呼吸器内科サブスペシャリティー重点コースがあり、プログラム3年目(卒後5年目)より呼吸器内科の研修が可能となります。
研修希望の方は、上村 光弘医長宛まで:kamimura.mitsuhiro.dc@mail.hosp.go.jp 御連絡ください。
患者さまを診療するうえで用いた検査データ・保存検体等を症例報告、臨床研究等に利用させていただくことがあります。この場合、お名前・ご住所など患者さまを特定できるようなことは一切ありません(匿名化といいます)。なお、このような利用を希望されない場合には主治医にお伝えください。