(2019/10/04 up)
強い勢力の台風15号は令和元年9月9日午前5時頃、千葉市付近に上陸。更に関東を暴風域に巻き込みながら北上し、千葉県を中心に最大93万軒の大規模停電となりました。
同日17時頃に日本DMAT事務局から東京都に対して出動要請があり、当院も災害本部を立ち上げ、DMAT1隊(医師2名、看護師2名、薬剤師1名、放射線技師1名の計6名)が、DMATカー等の車両2台に医療資機材を積んで現地に向かいました。
千葉に入ると信号や街灯が消えており、電柱や看板が倒れているなど被害の甚大さを目の当たりにしました。
千葉県内に複数のDMAT活動拠点本部が立ち上がり、我々はその中の一つである千葉大学医学部付属病院に参集しました。千葉・東京・茨城よりDMAT36隊が参集し、DMAT2次隊では栃木・群馬・埼玉の15隊が追加派遣され一緒に活動しました。
当院DMATはまず本部活動の手伝いを行いました。途中からは2チームに分かれ、一つのチームはそのまま千葉大学医学部付属病院に残り本部活動の手伝いを続け、もう一つのチームは周辺の病院調査や病院支援および患者搬送の任務にあたりました。
本部活動では周辺の病院の状況を調査・把握し、それぞれの病院のニーズに応えるべく行政をはじめとする関係組織との調整などを行いました。完全にライフラインが寸断されている病院では入院患者様の生命に関わるので、
病院避難が必要か否かという難しい判断にも迫られたりもしました。また医療機器は稼働しているものの、空調設備までは使用できず病室内が高温環境となっている病院が多かったのが今回の災害の特徴でした。そのため入院患者様の熱中症対策として水分・氷の調達や搬送の調整などを本部より行いました。
周辺調査を行ったチームは訪れた病院の残存する機能を評価し、現場の病院スタッフと相談してどのような支援が必要かを本部に報告しました。夜間に訪れた病院では暗闇の中、休憩をとっているスタッフへ疲労軽減を目的に明かりのある休憩スペースを確保したりもしました。スタッフの方々からいただいた「明かりを見るだけで救われます。」という言葉が忘れられません。
病院避難に伴う患者搬送では、電力が喪失しているため、限られた搬送手段を有効活用し、搬送を希望している病院の負担を軽減するために活動しました。幸い支援に出向いた時には電力が復旧している地域であったため、患者の重症度や看護を考慮しながら、入院患者2名の搬送を行いました。患者搬送や孤立した病院を見つけてサポートする等様々な支援の難しさを実感しました。
今回得た様々な経験を病院、地域に還元し、いつ起こるか分からない身近で起こりうる災害を減災できるように日々努めていきたいと思います。