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DPCデータによる病院情報

DPCデータによる病院情報

DPCとは

DPCとは「Diagnosis Procedure Combination 」の略で、急性期病院における診断群分類制度を指します。診断群分類は、病名と行った診療行為、重症度で決定され、その診断群分類によって入院1日あたりの入院包括評価点数が設定されています。この制度は、平成15年4月より開始され、当院では平成21年4月より導入されております。

集計対象

令和5年4月1日から令和6年3月31日までの退院患者

除外対象

  • 入院した後、24時間以内に死亡した患者又は生後1週間以内に死亡した新生児
  • 臓器移植を行った患者
  • 歯科診療のみの患者
  • 労災、交通事故等、医療保険を使用していない患者
  • 人間ドック

年齢階級別退院患者数

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年齢区分 0~ 10~ 20~ 30~ 40~ 50~ 60~ 70~ 80~ 90~
患者数 11 249 309 324 600 1207 1705 3227 2823 629
定義
①令和5年4月1日~令和6年3月31日に退院した患者さんを集計の対象としています。
②年齢は入院した時点での年齢を集計しています。
③年齢階層は10歳刻みの患者数を表しています。
解説
当院では、小児からご高齢の方まで幅広い年齢層の患者さんの診療を行っています。特に70歳代の患者さんの割合が最も多く全体の約3割となっています。また60歳代以上の方の割合は全体の7割を占めています。

診断群分類別患者数等(診療科別患者数上位5位まで)

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血液内科

DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均
年齢
130030xx99x9xx 非ホジキンリンパ腫 手術なし アドセトリス等 69 12.90 12.88 0.00 74.43
130030xx99x5xx 非ホジキンリンパ腫 手術なし リツキシマブ+フィルグラスチムあり等 42 16.62 19.61 4.76 77.05
130040xx99x4xx 多発性骨髄腫、免疫系悪性新生物 手術なし ベルケイド等 36 18.42 19.16 0.00 68.17
130030xx97x50x 非ホジキンリンパ腫 手術あり リツキシマブ+フィルグラスチムあり等 副疾患なし 30 23.53 29.83 10.00 67.80
130030xx99x6xx 非ホジキンリンパ腫 手術なし ベルケイド等 27 16.89 13.10 0.00 78.78

血液内科では、非ホジキンリンパ腫に対して化学療法を行う症例が多くなっています。また、その他の造血器腫瘍(急性白血病、多発性骨髄腫等)の化学療法も行っており、どの疾患に対しても、エビデンスに基づいた標準的な治療法を考え、さらにそれぞれの患者さんの病状に照らし合わせて適切な治療法を選択して行っています。

糖尿病・内分泌内科

DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均
年齢
10007xxxxxx1xx 2型糖尿病(糖尿病性ケトアシドーシスを除く) インスリン製剤(注射薬に限る) 52 15.63 13.99 7.69 70.38
10007xxxxxx0xx 2型糖尿病(糖尿病性ケトアシドーシスを除く) 処置2なし 21 8.24 10.66 0.00 64.19
100180xx990x0x 副腎皮質機能亢進症、非機能性副腎皮質腫瘍 手術なし 処置1なし 副疾患なし 14 4.36 6.47 0.00 57.14
040081xx99x0xx 誤嚥性肺炎 手術なし 処置2なし 11 30.09 20.60 45.45 82.27
100040xxxxx00x 糖尿病性ケトアシドーシス、非ケトン昏睡 処置2なし 副疾患なし - - 13.15 - -

糖尿病・内分泌内科では、糖尿病の教育入院や血糖コントロールのための診療を多く行なっています。糖尿病の教育入院では、血液検査やインスリン分泌能検査、神経障害や腎症などの合併症の検査を行ないます。検査結果をもとに糖尿病コントロールを改善するための食事療法や運動療法、インスリン治療を含めた薬物療法を行ないます。また、他の診療科で手術が必要な場合に術前後の血糖コントロールも当科で行なっています。その他、緊急で加療が必要な高血糖や低血糖による意識障害等の糖尿病急性合併症の治療も数多く行なっています。糖尿病以外の疾患では原発性アルドステロン症などの副腎疾患をはじめとした内分泌疾患の精査入院を行なっています。

腎臓内科

DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均
年齢
110280xx03x0xx 慢性腎炎症候群・慢性間質性腎炎・慢性腎不全 経皮的シャント拡張術・血栓除去術 初回等 処置2なし 56 3.82 4.51 3.57 75.39
110280xx02x00x 慢性腎炎症候群・慢性間質性腎炎・慢性腎不全 末梢動静脈瘻造設術 内シャント造設術 単純なもの等 処置2なし 副疾患なし 35 4.63 7.57 0.00 68.43
110280xx9901xx 慢性腎炎症候群・慢性間質性腎炎・慢性腎不全 手術なし 処置1なし 人工腎臓 27 13.96 13.81 7.41 72.15
050130xx9900x0 心不全 手術なし 処置1なし 処置2なし 転院以外 22 5.91 17.38 13.64 72.05
110280xx9900xx 慢性腎炎症候群・慢性間質性腎炎・慢性腎不全 手術なし 処置1なし 処置2なし 17 11.41 11.49 11.76 72.59

腎臓内科では、慢性腎臓病の進行予防及び末期腎不全に対する透析導入前の待機療法及び内シャント手術や透析導入を行なっています。また、IgA腎症をはじめとする急速進行性糸球体腎炎や紫斑病性腎炎に対する治療を行なっています。IgAは免疫グロブリンの一種で、病原体などの侵入を未然に防ぐ役割をしています。IgA腎症は、腎臓の糸球体におけるメサンギウム細胞にIgAが沈着することにより血尿や蛋白尿が見られ、慢性腎炎症候群やネフローゼ症候群に至る病態です。定期的な診察による経過観察を要し、必要に応じて経口ステロイド療法やステロイドパルス療法を行なう場合があります。また、腎機能の低下によりカリウムやナトリウムが十分に排泄できず、体液が過剰となって、うっ血性心不全に至ることがあります。うっ血性心不全に対しては利尿剤やナトリウム摂取制限により治療し、必要に応じて緊急の透析を行う場合もあります。

膠原病・リウマチ内科

DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均
年齢
070470xx99x0xx 関節リウマチ 手術なし 処置2なし 30 10.30 15.40 3.33 76.30
070560xx99x00x 重篤な臓器病変を伴う全身性自己免疫疾患 手術なし 処置2なし 副疾患なし 19 11.53 14.23 0.00 72.00
110310xx99xxxx 腎臓又は尿路の感染症 手術なし - - 13.52 - -
070470xx99x3xx 関節リウマチ 手術なし ヒュミラ等 - - 13.99 - -
040081xx99x0xx 誤嚥性肺炎 手術なし 処置2なし - - 20.60 - -

膠原病・リウマチ内科では全身性臓器障害を伴う自己免疫疾患や関節リウマチの診療を多く行なっています。自己免疫疾患には全身性エリテマトーデス、混合性結合組織病、多発性筋炎/皮膚筋炎、血管炎、リウマチ性多発筋痛症などが該当します。微熱や関節痛などの症状について血液検査や画像検査など精査し疾患の診断や重症度の判定を行なった後に治療を行ないます。また、症状の再燃や増悪に対して治療薬を調整し、ステロイドパルス療法や複数の免疫抑制剤の投与を行なっています。

脳神経内科

DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均
年齢
010230xx99x00x てんかん 手術なし 処置2なし 副疾患なし 132 7.24 7.20 6.06 55.96
010060x2990401 脳梗塞 3日以内かつJCS10未満 手術なし 処置1なし エダラボン 副疾患なし RankinScale0~2等 51 15.10 15.70 39.22 68.75
010061xxxxx0xx 一過性脳虚血発作 処置2なし 45 6.00 6.25 0.00 74.16
010060x2990201 脳梗塞 3日以内かつJCS10未満 手術なし 処置1なし 脳血管疾患等リハ等 副疾患なし RankinScale0~2等 42 13.24 15.57 26.19 74.31
010060x2990411 脳梗塞 3日以内かつJCS10未満 手術なし 処置1なし エダラボン 水頭症等 RankinScale0~2等 25 19.96 17.39 40.00 79.88

脳神経内科で最も多く入院しているのは脳梗塞となっています(DPCの診断群分類上は複数コードとなるため、患者数は2位以下となっています)。脳梗塞では重症度の高い症例も受入れており、リハビリ転院や療養転院する患者さんの割合が多くなっています。次いで、てんかんを多く診療しています。てんかんとは、脳の過剰な興奮によって起こる痙攣などの発作症状を繰り返す事です。当院では、脳波検査による精査や抗てんかん薬による薬物治療を行っています。一過性脳虚血性発作は脳梗塞になりかかったが、自然に回復した状態の事で、脳梗塞と同じ症状が出現して24時間以内(実際にはもっと短時間)に回復します。治療や検査は脳梗塞に準じて行います。

呼吸器内科

DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均
年齢
040110xxxxx0xx 間質性肺炎 処置2なし 70 16.24 18.65 7.14 75.97
040040xx99040x 肺の悪性腫瘍 手術なし 処置1なし 化学療法ありかつ放射線療法なし 副疾患なし 45 6.69 8.33 0.00 68.44
040081xx99x0xx 誤嚥性肺炎 手術なし 処置2なし 31 21.48 20.60 25.81 83.13
040040xx9900xx 肺の悪性腫瘍 手術なし 処置1なし 処置2なし 24 14.38 13.59 12.50 73.67
040100xxxxx00x 喘息 処置2なし 副疾患なし 23 6.70 6.37 0.00 62.96

間質性肺炎は徐々に肺が硬くなり酸素の取り込みが悪くなる病気です。原因としては特発性(原因不明)の他に薬剤性、膠原病性、感染性、アレルギー性など多岐に渡り、根治が難しい病気ですが、抗線維化薬、免疫抑制剤、在宅酸素療法などの治療により生活の質の向上を目指しています。また、肺の悪性腫瘍に対する化学療法目的の入院が多くなっています。化学療法については、新規分子標的薬や免疫チェックポイント阻害剤など、最新の治療を取り入れた診療を行っています。がんの根治や疼痛緩和についても専門医と協力し治療を行っています。誤嚥性肺炎は口腔内異物や逆流した胃内容物などが気道に入り発症する肺炎であり、抗菌薬により治療します。喘息は気管支の炎症と気管支平滑筋の収縮に伴い、発作性の呼吸苦を生じる病気です。対応としては気管支の炎症を抑える吸入ステロイドや気管支拡張剤を用いた治療を行っています。

消化器科

DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均
年齢
060340xx03x00x 胆管(肝内外)結石、胆管炎 内視鏡的胆道ステント留置術等 処置2なし 副疾患なし 122 8.04 8.75 0.00 77.32
060100xx01xxxx 小腸大腸の良性疾患(良性腫瘍を含む) 内視鏡的大腸ポリープ・粘膜切除術等 99 3.51 2.61 1.01 65.26
060140xx97x0xx 胃十二指腸潰瘍、胃憩室症、幽門狭窄(穿孔を伴わないもの) その他手術あり 処置2なし 58 9.83 10.92 8.62 74.28
060102xx99xxxx 穿孔又は膿瘍を伴わない憩室性疾患 手術なし 53 7.55 7.58 3.77 68.36
060130xx9900xx 食道、胃、十二指腸、他腸の炎症(その他良性疾患) 手術なし 処置1なし 処置2なし 43 8.40 7.63 9.30 70.14

消化器科では、胆石や胆管炎などの胆道疾患を多く治療しています。胆石による胆管閉塞で胆管炎を生じた症例に対して、内視鏡的にファーター乳頭を切開または拡張して胆石を除去したり、胆汁をドレナージして黄疸の改善を図るといった治療を多く行なっています。次いで、良性の大腸ポリープや大腸腺腫に対する内視鏡的大腸ポリープ・粘膜切除術を行なっています。内視鏡的大腸ポリープ・粘膜切除術は良性腫瘍を含めた隆起性病変を切除する治療です。また、上部消化管出血(胃十二指腸潰瘍など)に対する内視鏡的処置も多く行なっています。大腸憩室は結腸の粘膜が筋層を超えて突出した袋状の構造です。憩室炎は憩室に炎症を生じた状態であり、感染を伴う場合は抗菌薬で加療されます。憩室炎や憩室出血に対する腸管安静などの保存的な治療も行っています。

循環器内科

DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均
年齢
050070xx01x0xx 頻脈性不整脈 経皮的カテーテル心筋焼灼術等 処置2なし 428 5.63 4.57 0.00 65.71
050210xx97000x 徐脈性不整脈 手術あり 処置1なし 処置2なし 副疾患なし 168 10.55 9.77 7.14 76.65
050050xx0200xx 狭心症、慢性虚血性心疾患 経皮的冠動脈ステント留置術等 処置1なし 処置2なし 148 3.24 4.26 0.00 68.89
050050xx9910x0 狭心症、慢性虚血性心疾患 手術なし 心臓カテーテル法による諸検査等 処置2なし 転院以外 147 3.03 3.05 0.00 68.26
050130xx9900x0 心不全 手術なし 処置1なし 処置2なし 転院以外 96 16.75 17.38 20.83 83.91

循環器内科では、不整脈治療に対するアブレーション治療を多く行っています。アブレーション治療は、経皮的に特殊なカテーテルを不整脈の原因となる場所に到達させ、カテーテルから高周波電流を流し心筋を焼灼する、もしくは風船(クライオバルーン)を使用し、冷凍凝固壊死させる治療法です。次いで、心臓のリズムがゆっくりになる(徐脈)不整脈に対して、ペースメーカー移植術を行っています。主に完全房室ブロック(刺激伝導系が心房と心室の間で切れている状態)や洞不全症候群(洞結節が正常に刺激を出せない状態)に対して多く行われています。また、狭心症・虚血性心疾患に対する治療では、冠動脈の狭窄・閉塞した病変をバルーンやステントを用いて拡張する治療(PCI)を多く行っています。狭心症・虚血性心疾患に対する心臓カテーテル検査も多く行っており、細いカテーテルを手首周囲や足の付け根の動脈から心臓まで進め、心臓の栄養血管である冠動脈の狭窄度や心臓の動きを造影剤で確認し、病気の確定診断・重症度評価を行います。

救命救急科

DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均
年齢
161070xxxxx00x 薬物中毒(その他の中毒) 処置2なし 副疾患なし 195 2.85 3.62 12.82 33.44
160100xx99x00x 頭蓋・頭蓋内損傷 手術なし 処置2なし 副疾患なし 78 3.79 8.38 10.26 60.71
160100xx97x00x 頭蓋・頭蓋内損傷 その他手術あり 処置2なし 副疾患なし 71 5.90 9.88 9.86 62.72
160800xx01xxxx 股関節・大腿近位の骨折 人工関節置換術等 60 28.47 25.50 73.33 78.45
040081xx99x0xx 誤嚥性肺炎 手術なし 処置2なし 39 15.44 20.60 46.15 72.23

急性発症した重症患者の診療にあたる救命救急科では、薬物中毒、頭蓋・頭蓋内損傷、股関節・大腿近位の骨折の治療を多く行なっています。急性薬物中毒は、医薬品の過剰摂取や洗剤・殺虫剤の誤飲などの原因物質により、意識障害や不整脈などの症状を引き起こします。血液検査・尿検査や聴取により原因物質を特定します。治療として対症療法以外に胃洗浄、活性炭の投与や透析等の処置を行う場合があります。頭蓋・頭蓋内損傷は、脳振盪、頭部打撲、頭蓋骨骨折、脳挫傷、外傷性くも膜下出血等の頭部外傷が該当します。救急搬送され救命救急科が受入れ診察した後に院内の他診療科で専門加療を行う場合がありますが、前述の疾患については救命救急科が主科として担当しています。股関節・大腿近位の骨折に対しては、プレート・スクリューなどを用いて整復・固定する手術や人工骨頭に入替える手術を行なっています。当院は整形外科と救命救急科の合同で骨折外傷センターの体制に取り組んでおり、左記の手術は救命救急科のみでなく、整形外科でも多く実施しています。

消化器・乳腺外科

DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均
年齢
060160x001xxxx 鼠径ヘルニア 15歳以上 鼠径ヘルニア手術等 69 4.10 4.55 0.00 72.32
060035xx010x0x 結腸(虫垂を含む)の悪性腫瘍 結腸切除術等 処置1なし 副疾患なし 42 13.12 15.12 0.00 70.64
090010xx010xxx 乳房の悪性腫瘍 乳腺悪性腫瘍手術 乳房切除術等 処置1なし 35 8.23 9.88 0.00 67.26
060020xx02xxxx 胃の悪性腫瘍 胃切除術等 34 18.79 18.01 5.88 73.62
060335xx02000x 胆嚢炎等 腹腔鏡下胆嚢摘出術等 処置1なし 処置2なし 副疾患なし 30 5.70 6.87 3.33 62.63

消化器乳腺外科では、鼠径ヘルニアに対するヘルニア手術を多く行なっています。次いで、結腸の悪性腫瘍に対する手術(腹腔鏡下結腸悪性腫瘍切除術、結腸切除術)を多く行なっています。乳がんについては半数が早期がんであり、早期がんでも乳房全切除が必要な方には形成外科医師と共同で切除と同日に再建術を行なう「同時乳房再建」も行なっています。胃の悪性腫瘍に対する胃切除術も多く行っています。早期の結腸・胃の悪性腫瘍に対して、がん治療ガイドラインが規定する範疇で体に負担の少ない腹腔鏡手術を行なっています。また、胆石性胆のう炎に対して腹腔鏡下手術による胆嚢摘出術を行なっています。多くの手術でクリニカルパスを使用し、標準化したわかりやすい手術治療を行なっています。5大がん以外では、食道がんや膵がん、胆道がん等の難治がんの治療も行なっています。手術治療以外にも必要に応じて化学療法・放射線治療などを組み合わせた集学的治療を行なっています。

整形外科

DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均
年齢
160800xx01xxxx 股関節・大腿近位の骨折 人工関節置換術等 65 28.31 25.50 70.77 82.52
07040xxx01xxxx 股関節骨頭壊死、股関節症(変形性を含む) 人工関節置換術等 45 17.09 19.55 11.11 68.89
070230xx01xxxx 膝関節症(変形性を含む) 人工関節置換術等 45 18.29 21.96 13.33 78.00
160760xx97xx0x 前腕の骨折 手術あり 副疾患なし 26 4.00 4.76 0.00 55.35
160690xx99xxxx 胸椎、腰椎以下骨折損傷(胸・腰髄損傷を含む) 手術なし 24 25.71 19.34 66.67 82.00

整形外科では股関節・大腿近位の骨折に対する手術を多く行なっています。術式として、人工股関節や人工骨頭に入れ替える手術、プレート・スクリューなどを用いて整復・固定する手術を行なっています。手術後に長期のリハビリテーションを必要とする場合にリハビリテーション専門施設へ転院をお願いしているため、転院率が高くなっています。次いで、骨折等の理由により大腿骨頭の血液の流れが低下し壊死に陥る股関節骨頭壊死、変形や癒着等により関節の動きが悪くなり痛みが生じる変形性股関節症・変形性膝関節症に対して人工関節に入れ替える手術を多く行なっています。また、転倒などにより前腕骨や胸椎・腰椎に骨折をきたして入院される方が多くなっています。

形成外科

DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均
年齢
070010xx970xxx 骨軟部の良性腫瘍(脊椎脊髄を除く) その他手術あり 処置1なし 19 3.84 4.28 0.00 60.79
050180xx02xxxx 静脈・リンパ管疾患 下肢静脈瘤血管内焼灼術等 18 2.00 2.61 0.00 73.50
020230xx97x0xx 眼瞼下垂 手術あり 処置2なし 18 2.00 2.82 0.00 79.50
080006xx01x0xx 皮膚の悪性腫瘍(黒色腫以外) 皮膚悪性腫瘍切除術等 処置2なし 17 9.35 7.22 0.00 77.24
160200xx02000x 顔面損傷(口腔、咽頭損傷を含む) 内視鏡下鼻中隔手術I型(骨、軟骨手術)等 処置1なし 処置2なし 副疾患なし 16 3.31 4.63 0.00 34.25

形成外科の治療対象となる疾患は多岐にわたります。四肢・躯幹の良性腫瘍で、皮下より深いところの軟部組織内に位置するものを切除する四肢・躯幹軟部腫瘍摘出術を多く施行しています。下肢静脈瘤は、下肢の皮下静脈が拡張・蛇行し、静脈還流が障害された状態です。下肢静脈瘤に対する下肢静脈瘤手術(血管内焼灼術)を行なっています。眼瞼下垂症(先天性・老人性)は上瞼が十分に開けられず、前を見たときに上瞼が黒目を被っている状態です。眼瞼下垂症手術(眼瞼挙筋前転法など)により加療しています。皮膚の悪性腫瘍では皮膚科と協力し、手術から術後の治療を行っています。皮膚の悪性腫瘍には基底細胞がん、有棘細胞がん、悪性黒色腫、ボーエン病、パジェット病があり、頭から足先まであらゆる場所に発生します。これらの腫瘍に対して全身麻酔または局所麻酔下に切除し、皮膚が大きく欠損した場合には植皮術や皮弁形成術を行ない、整容面に配慮して創部を閉鎖しています。顔面骨折については、事故などで多部位に外傷が及んでいる症例が多く、救命救急科や整形外科、脳神経外科、歯科口腔外科と連携して治療に当たっています。

脳神経外科

DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均
年齢
160100xx97x00x 頭蓋・頭蓋内損傷 その他手術あり 処置2なし 副疾患なし 130 4.69 9.88 6.15 76.45
010040x099000x 非外傷性頭蓋内血腫(非外傷性硬膜下血腫以外) JCS10未満 手術なし 処置1なし 処置2なし 副疾患なし 58 18.60 19.09 67.24 66.59
010040x199x0xx 非外傷性頭蓋内血腫(非外傷性硬膜下血腫以外) JCS10以上 手術なし 処置2なし 54 25.44 22.61 53.70 75.93
160100xx99x00x 頭蓋・頭蓋内損傷 手術なし 処置2なし 副疾患なし 47 9.47 8.38 19.15 74.94
010030xx9910xx 未破裂脳動脈瘤 手術なし 動脈造影カテーテル法(選択的に造影撮影) 処置2なし 27 3.00 2.95 0.00 57.74

脳神経外科では、外科的疾患以外にも脳卒中と呼ばれる脳梗塞や脳出血・くも膜下出血といった脳血管障害や、軽症から重症までの頭部外傷患者の受け入れを積極的に行っています。入院患者の多くが予定外・救急医療入院となっています。「頭蓋・頭蓋内損傷」は頭部外傷による硬膜下血腫、硬膜外血腫、脳挫傷や頭蓋骨折などが該当します。その中でも外傷性慢性硬膜下血腫が最も多い疾患です。治療としては頭蓋骨に小さな孔を開けて血腫を抜き、洗浄・ドレナージする慢性硬膜下血腫穿孔洗浄術を多く行っていますが、手術を行わず保存的に加療する場合もあります。非外傷性頭蓋内血腫は主に脳出血に対する治療を行っています。脳内の血腫が増大した場合は、脳に対する圧迫をとるため手術により除去する治療も行っています。

呼吸器外科

DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均
年齢
040040xx97x00x 肺の悪性腫瘍 その他手術あり 処置2なし 副疾患なし 53 7.28 9.89 0.00 70.40
040200xx99x00x 気胸 手術なし 処置2なし 副疾患なし 27 5.56 9.17 3.70 39.63
040200xx01x00x 気胸 胸腔鏡下肺切除術等 処置2なし 副疾患なし 21 7.24 9.54 0.00 29.95
040040xx99040x 肺の悪性腫瘍 手術なし 処置1なし 化学療法ありかつ放射線療法なし 副疾患なし 12 4.00 8.33 0.00 69.67
040040xx99060x 肺の悪性腫瘍 手術なし 処置1なし ザーコリ等 副疾患なし - - 13.89 - -

呼吸器外科では肺がんの患者数が最も多くなっています。肺がんに対する治療としてがんの大きさやリンパ節への転移などを考慮し、最適な治療方法を選択しています。手術は、一般的な開胸手術もしくは低侵襲手術である胸腔鏡下手術を行っています。胸腔鏡手術を行うメリットとしては、創が小さいため痛みが少なく、回復も早いため入院期間が短くなる事です。次いで気胸に対する手術やドレナージ、癒着療法を行っています。患者さんの状態や気胸の初発・再発などを考慮し治療を選択します。また、気胸は若年層に多い疾患のため、平均年齢も約30代となっています。

皮膚科

DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均
年齢
080010xxxx0xxx 膿皮症 処置1なし 29 14.66 12.88 13.79 65.93
080110xxxxx0xx 水疱症 処置2なし - - 28.98 - -
080100xxxx0x0x 薬疹、中毒疹 処置1なし 副疾患なし - - 10.61 - -
050180xx99xx0x 静脈・リンパ管疾患 手術なし 副疾患なし - - 14.29 - -
080020xxxxxxxx 帯状疱疹 - - 9.29 - -

令和5年度は膿皮症の症例を主に診療しています。蜂窩織炎や丹毒等が膿皮症に該当します。治療は主に抗生剤を投与します。

泌尿器科

DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均
年齢
110070xx03x0xx 膀胱腫瘍 膀胱悪性腫瘍手術 経尿道的手術 電解質溶液利用等 処置2なし 106 6.08 6.85 0.00 77.06
110080xx991xxx 前立腺の悪性腫瘍 手術なし 前立腺針生検法 77 2.00 2.44 0.00 73.10
11012xxx02xx0x 上部尿路疾患 経尿道的尿路結石除去術等 副疾患なし 29 4.41 5.22 0.00 64.52
110070xx99x20x 膀胱腫瘍 手術なし 化学療法 副疾患なし 27 6.67 9.06 0.00 73.67
11012xxx97xx0x 上部尿路疾患 その他手術あり 副疾患なし 18 4.67 7.08 5.56 67.83

泌尿器科では、膀胱腫瘍に対する経尿道的手術(TUR-BT)を多く行なっています。手術は全身麻酔もしくは腰椎麻酔を行い、専用の内視鏡器具を用いて、電気メスで切除をします。手術後は尿を体の外に出す目的で尿管カテーテルを留置します。状況によっては数日間留置する場合もありますが、カテーテルを抜去した後に退院となります。次いで、検診や血液検査などで前立腺がんの疑いがある場合に、前立腺組織を採取し顕微鏡で確認する検査入院(通常は1泊2日)を多く行なっています。その他、上部尿路疾患では尿管結石に対してレーザーにより結石を破砕する手術、尿管結石により尿の流れが悪くなり腎臓に尿が貯留する水腎症に対してステントを留置する治療を行なっています。膀胱腫瘍については、手術の他に化学療法(抗がん剤治療)も行なっています。

眼科

DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均
年齢
020110xx97xxx0 白内障、水晶体の疾患 手術あり 片眼 270 2.01 2.54 0.00 77.73
020220xx97xxx0 緑内障 その他手術あり 片眼 44 3.00 4.82 0.00 78.32

眼科では、白内障治療のための水晶体再建術を最も多く行っています。令和4年10月より、白内障の手術と同時に行う緑内障手術(水晶体再建術併用眼内ドレーン挿入術)を2泊3日の入院で施行しています。この手術は眼の中に線維柱帯マイクロバイパス(iStenW)というチューブを留置することで術後に眼圧を低下させる効果が期待できます。

産婦人科

DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均
年齢
120090xx97xxxx 生殖器脱出症 手術あり 26 8.08 7.89 0.00 74.62
120060xx02xxxx 子宮の良性腫瘍 腹腔鏡下腟式子宮全摘術等 22 5.82 5.93 0.00 49.23
120070xx02xxxx 卵巣の良性腫瘍 子宮附属器腫瘍摘出術等 16 6.31 6.00 0.00 51.00
120220xx01xxxx 女性性器のポリープ 子宮全摘術等 15 3.40 2.78 0.00 45.53
12002xxx01x0xx 子宮頸・体部の悪性腫瘍 腹腔鏡下腟式子宮全摘術等 処置2なし 15 9.07 10.10 6.67 61.80

産婦人科では、良性疾患に対する手術を多く行っており、腹腔鏡下や子宮鏡下による術式を主に行なっています。その他に骨盤臓器脱(子宮脱、膀胱瘤等)に対して専門外来を設けて積極的に手術を行なっています。

耳鼻咽喉科

DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均
年齢
030350xxxxxxxx 慢性副鼻腔炎 25 6.80 6.02 0.00 55.56
030390xx99xxxx 顔面神経障害 手術なし 12 6.50 8.71 0.00 65.33
030440xx01xxxx 慢性化膿性中耳炎・中耳真珠腫 鼓室形成手術等 11 5.18 6.76 0.00 68.82
030240xx99xxxx 扁桃周囲膿瘍、急性扁桃炎、急性咽頭喉頭炎 手術なし - - 5.51 - -
100130xx97x0xx 甲状腺の良性結節 手術あり 処置2なし - - 7.00 - -

耳鼻咽喉科では、慢性副鼻腔炎に対する内視鏡的鼻副鼻腔手術を多く施行しています。副鼻腔の炎症による鼻漏、味覚障害などの症状が3ヶ月以上続くものが慢性副鼻腔炎です。内視鏡的下鼻・副鼻腔手術は内視鏡を鼻孔に挿入し、副鼻腔の隔壁の切除や自然口の拡大を行ない、鼻腔への交通路を拡大し、粘膜の温存を図る手術です。ヘルペスウイルスや帯状疱疹ウイルスの再活性化による神経炎などが原因で生じる顔面神経麻痺に対してステロイドや抗ウイルス薬による治療を行っています。慢性中耳炎は中耳の急性炎症後に炎症が慢性化することで生じます。慢性中耳炎などにより耳小骨の障害を生じた場合、鼓室形成手術により耳小骨連鎖の修復を図っています。

小児科

DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均
年齢
010290xxxxxxxx 自律神経系の障害 25 2.44 5.07 0.00 15.00
050200xx99xxxx 循環器疾患(その他) 手術なし 21 2.71 7.40 0.00 15.24

立ちくらみや朝起きられないなどの症状があり、起立性調節障害を疑われる小児へ入院にて精査を行っています。画像診断・血液検査などにより心疾患や耳疾患などの他疾患ではないことを確認した後に、自律神経の機能障害をみるため新起立試験を行います。新起立試験は10分以上臥床の後、安静時の血圧・脈拍を測定し、起立後の血圧低下からの回復時間、その後10分後まで血圧・脈拍を測定します。新起立試験により、起立性調節障害の詳細な分類や重症度を確認することができます。

初発の5大癌のUICC病期分類別並びに再発患者数

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初発

再発

病期分類
基準(※)

版数

Stage I

Stage II

Stage III

Stage IV

不明

胃癌

37 16 13 33 12 12 1 8

大腸癌

30 37 54 43 22 31 1 8

乳癌

20 28 14 - - - 1 8

肺癌

44 14 51 86 14 138 1 8

肝癌

20 - - - - 28 1 8

1:UICC TNM分類,2:癌取扱い規約

患者数は、肺がんが最も多くなっています。肺がんの治療方法には、手術、化学療法、放射線治療、緩和治療があり、肺がんの組織像や進行の程度によって適切な治療法を選択し、診療にあたっています。
次いで、大腸がんが多くなっています。早期大腸がんに対する内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD)を積極的に行っています。大腸がんの治療では、外科治療だけではなく、抗がん剤や放射線治療も併用しながら手術での根治切除を目指しています。また、腹腔鏡手術や肛門温存を行うことで、術後の高いQOL(=生活の質)の維持を心がけています。再発した場合の治療では、推進されるすべての薬物療法を行うことや新規免疫療法剤を取り入れた治療を行っています。
当院は、3次救急病院としての高度急性期医療を担うのみならず、北多摩西部地域の地域がん診療連携拠点病院として、5大がん以外のがんの治療にも積極的に取り組んでいます。

【定義】
5大がんと呼ばれる胃がん、大腸がん、乳がん、肺がん、肝がんについて、初発のUICC病期分類別、および再発に分けて集計しています。
UICC病期分類とはUICC病期分類国際対がん連合によって定められた、①原発巣の大きさと進展度、②所属リンパ節への転移状況、③遠隔転移の有無の3つのカテゴリによって各がんをⅠ期(早期)からⅣ期(末期)の4病期(ステージ)に分類するものです。
令和5年度に退院した患者さんを対象に集計しています。複数回入院された患者さんについては、それぞれ集計しています。「初発」とは、当院において当該腫瘍の診断、あるいは初回治療を実施した場合を指します。「再発」とは、当院・他施設を問わずに初回治療が完了した後、当院にて患者さんを診察した場合や、がん寛解後に局所再発・再燃また新たな遠隔転移をきたした場合を指します。

※「不明」とは、退院時に病理診断等の結果が出ていないために病期分類できなかった症例を掲載しています。検査結果をもとに後日病期分類を行っていますが、この集計には含まれていません。

成人市中肺炎の重症度別患者数等

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患者数

平均
在院日数

平均年齢

軽症

15 8.40 58.67

中等症

109 15.80 75.49

重症

48 18.04 81.96

超重症

30 20.20 82.43

不明

- - -

成人の市中肺炎について、重症度別に患者数、平均在院日数、平均年齢を示しています。肺炎の重症度分類として、A-DROPスコアを用いています。A-DROP スコアとは、以下の5項目のうち入院時(入院中に発生した場合は発症時)の状態に該当する項目の合計数をいいます。

  • 男性70歳以上、女性75歳以上
  • BUN 21mg/dL以上又は脱水あり
  • SpO2 90%以下(PaO2 60Torr以下)
  • 意識障害あり
  • 血圧(収縮期)90mmHg以下

※5点満点で、1項目該当すれば1点、2項目該当すれば2点になります。

重症度分類はA-DROPスコアの合計値によって決まります。

  • 軽症:0点の場合
  • 中等症:1~2点の場合
  • 重症:3点の場合
  • 超重症:4~5点の場合(ただし、ショックであれば1点でも超重症とする。)

重症度が高くなるとともに平均年齢が上がり、高齢者において重症化の割合が高くなっています。重症度別患者数では、割合が多い順に中等症が約54%、重症が約24%、超重症が約15%、軽症が約7%となっています。当院は、中等症から超重症の肺炎の治療を多く行なっています。

脳梗塞の患者数等

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発症日から

患者数

平均在院
日数

平均
年齢

転院率

3日以内

295 22.44 76.22 44.41

その他

18 26.50 75.06 3.51

脳梗塞は、脳動脈の狭窄や閉塞により脳の一部への血流が途絶えてしまい、脳組織が壊死に至る疾患です。脳梗塞に至った部位により、麻痺や構音障害、失語などの症状が現れます。当院では主に脳神経内科・脳神経外科で診療を行っています。来院時より治療を開始しますが、脳梗塞発症直後に来院されない場合もあるため、発症日から3日以内の入院の割合は約94%となっています。急性期治療が終了後、自宅への帰宅が困難な場合には、リハビリ病院や療養病院への転院を行う場合もあり、転院率は約48%となっています。

診療科別主要手術別患者数等(診療科別患者数上位5位まで)

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腎臓内科

Kコード 名称 患者数 平均術前日数 平均術後日数 転院率 平均年齢
K6121イ 末梢動静脈瘻造設術(内シャント造設術)(単純なもの) 50 5.62 9.64 12.00 69.10
K616-41 経皮的シャント拡張術・血栓除去術(初回) 36 2.31 2.14 2.78 75.97
K616-42 経皮的シャント拡張術・血栓除去術(1の実施後3月以内に実施する場合) 21 1.00 1.10 0.00 74.33
K608-3 内シャント血栓除去術 - - - - -
K635-3 連続携行式腹膜灌流用カテーテル腹腔内留置術 - - - - -

腎臓内科では慢性腎不全に対する血液透析導入のため内シャント設置術を行なっています。内シャント設置術は動脈と静脈を吻合して、シャントと呼ばれる特殊な血管回路を外科的に腕や手につくります。通常は利き腕とは反対側に作成しますが、血管の状態によっては、作成の仕方や部位が異なる場合もあります。通常は術前1日、術後数日で退院となりますが、合併症を有する症例も集計に含まれるため、術前後の日数が長くなっています。経皮的シャント拡張術・血栓除去術は、シャントの狭窄や閉塞が起こり、血液透析が困難となった際に行ないます。大腿や上腕動脈を穿刺し、ガイドワイヤー、ガイディングカテーテルを用いて狭窄または閉塞部を貫通し、バルーンカテーテルにより拡張します。

消化器科

Kコード 名称 患者数 平均術前日数 平均術後日数 転院率 平均年齢
K688 内視鏡的胆道ステント留置術 131 1.19 9.50 2.29 77.03
K7211 内視鏡的大腸ポリープ・粘膜切除術(長径2センチメートル未満) 73 0.16 1.11 1.37 67.04
K654 内視鏡的消化管止血術 60 1.02 8.38 6.67 73.45
K7212 内視鏡的大腸ポリープ・粘膜切除術(長径2センチメートル以上) 39 0.72 2.67 0.00 63.97
K6113 抗悪性腫瘍剤静脈内持続注入用植込型カテーテル設置(頭頸部その他) 37 1.89 12.54 2.70 67.32

消化器科では内視鏡的胆道ステント留置術を多く行なっています。胆道がんや総胆管結石による胆管閉塞のため黄疸を生じた症例に対して、プラスチックや金属の管(ステント)を胆管に留置して、胆汁の流れを改善させる治療です。次いで、内視鏡的大腸ポリープ・粘膜切除術を多く実施しています。ほとんどは日帰り手術で行なっていますが、入院が必要な症例でも1泊2日で対応しています。内視鏡的消化管止血術は、出血性胃潰瘍や胃の悪性腫瘍による出血に対してクリッピングなどにより止血を図る処置です。抗悪性腫瘍剤静脈内持続注入用植込型カテーテル設置術は、抗がん剤の投与に先だって、中心静脈と呼ばれる太い血管に薬剤を送るカテーテルを留置し、また、皮下にポートを設置する手術です。

循環器科

Kコード 名称 患者数 平均術前日数 平均術後日数 転院率 平均年齢
K5951 経皮的カテーテル心筋焼灼術(心房中隔穿刺又は心外膜アプローチを伴うもの) 354 1.32 4.04 0.28 67.26
K5972 ペースメーカー移植術(経静脈電極の場合) 115 1.99 9.60 12.17 77.90
K5493 経皮的冠動脈ステント留置術(その他のもの) 102 1.93 1.68 0.00 69.35
K5952 経皮的カテーテル心筋焼灼術(その他のもの) 87 0.97 2.31 0.00 60.49
K616 四肢の血管拡張術・血栓除去術 60 2.02 3.43 5.00 73.02

経皮的カテーテル心筋焼却術は、特殊なカテーテルを不整脈の原因となる場所に到達させ、カテーテルから高周波電流を流し心筋を焼却、もしくは風船(クライオバルーン)を使用し冷凍凝固壊死させ不整脈を生じないようにする手術です。不整脈の原因となる箇所に到達する方法により、左心系からアプローチする場合(心房中隔穿刺又は心外膜アプローチを伴うもの)と右心系や大動脈からアプローチする場合(その他のもの)に保険点数が分かれています。ペースメーカー移植術は、徐脈性不整脈(完全房室ブロック、洞不全症候群等)に対して施行しています。また、狭心症・虚血性心疾患に対して、バルーンやステントを用いて狭窄や血管を拡げるPCI(経皮的冠動脈形成術)も行っています。その他の治療としては、下肢閉塞性動脈硬化症に対する四肢の血管拡張術・血栓除去術も積極的に行っています。

救命救急科

Kコード 名称 患者数 平均術前日数 平均術後日数 転院率 平均年齢
K0461 骨折観血的手術(大腿) 等 51 2.88 23.84 62.75 74.35
K386 気管切開術 25 9.28 36.56 64.00 64.24
K0462 骨折観血的手術(下腿) 等 23 4.17 13.96 17.39 49.26
K6151 血管塞栓術(頭部、胸腔、腹腔内血管等)(止血術) 22 0.14 19.91 36.36 72.36
K714 腸管癒着症手術 等 22 0.09 10.45 9.09 65.41

救命救急科では、骨折観血的手術を最も多く行なっています。骨折観血的手術は、他の方法では良好な整復が望めない場合に骨折部を開いて鋼線や釘・プレートなどを用いて直接固定を行なう手術です。主に大腿や下腿の骨折に対して手術を多く行なっています。次いで外傷や重症な肺炎などにより喉頭の狭窄や閉塞をきたし呼吸困難が生じた場合に行なう気管切開術を行なっています。その他、外傷性出血に対して止血目的に血管塞栓術を行なっています。X線透視下に出血箇所の血管までカテーテルを進めて金属コイル等により止血する方法です。また、腸管への血行障害が生じて腸管壊死や穿孔等の可能性がある絞扼性イレウスに対して行なう腸管癒着症手術を多く行なっています。

消化器・乳腺外科

Kコード 名称 患者数 平均術前日数 平均術後日数 転院率 平均年齢
K6113 抗悪性腫瘍剤静脈内持続注入用植込型カテーテル設置(頭頸部その他) 等 66 1.05 2.97 0.00 67.23
K672-2 腹腔鏡下胆嚢摘出術 50 1.02 3.78 2.00 61.82
K634 腹腔鏡下鼠径ヘルニア手術(両側) 37 1.05 2.03 0.00 68.73
K719-3 腹腔鏡下結腸悪性腫瘍切除術 36 1.83 11.28 0.00 69.89
K6335 ヘルニア手術(鼠径ヘルニア) 32 1.03 2.09 0.00 76.47

最も症例数が多い抗悪性腫瘍剤静脈内持続注入用植込型カテーテル設置術は、抗がん剤を投与するために、中心静脈と呼ばれる太い血管に薬剤を送るカテーテルを留置し、皮下にポートを設置する手術です。食道がん・胃がん・膵臓がん・結腸がん・乳がんなどについて、がん治療ガイドラインを遵守し、手術に加え、薬物療法を実施しています。特に結腸がんに対する手術は症例数が多く、内視鏡での治療が難しい結腸がんに対して結腸切除術を行っています。結腸切除術はがんがある部位を含む腸管を切除する手術です。がんがある部位によって、結腸右半切除術、横行結腸切除術、結腸左半切除術などの方法があります。消化器乳腺外科では特に体に負担の少ない腹腔鏡下手術を導入しており、胆石症、鼠径ヘルニア、早期の胃がん、結腸がんについて、病態に応じて治療を行なっています。(注:「腹腔鏡下鼠径ヘルニア手術(両側)」につきまして、診療報酬上「(両側)」の表記となっていますが、主に片側の手術を行っています。)

整形外科

Kコード 名称 患者数 平均術前日数 平均術後日数 転院率 平均年齢
K0821 人工関節置換術(股) 等 99 1.99 16.37 17.17 72.78
K0462 骨折観血的手術(前腕) 等 50 2.22 5.22 10.00 59.36
K0461 骨折観血的手術(大腿) 等 47 4.77 18.49 59.57 80.32
K0811 人工骨頭挿入術(股) 等 30 8.97 22.17 66.67 82.37
K1425 脊椎固定術、椎弓切除術、椎弓形成術(多椎間又は多椎弓の場合を含む。)(椎弓切除) 27 1.48 16.78 25.93 66.93

整形外科では、人工関節置換術を多く行なっています。骨折や病的な理由で股関節が十分に機能しなくなった場合に、人工の関節に入れ替えることで機能回復を図る手術です。主に変形性股関節症や大腿骨頭壊死に対して手術を多く行なっています。次いで、骨折観血的手術を多く行なっています。他の方法では良好な整復が望めない場合に、骨折部を開いて鋼線や釘・プレートなどを用いて直接固定を行なう手術です。前腕骨や大腿骨の骨折に対して数多く手術を行なっています。大腿骨頚部骨折においては股関節の大腿骨頭が壊れた際に金属の骨頭と入れ替え関節機能の回復を図る人工骨頭挿入術も行なっています。その他、腰部脊柱管狭窄症や椎体骨折に対して椎弓の一部を切除し脊柱管を広げて神経の圧迫を和らげる椎弓切除術を行なっています。

形成外科

Kコード 名称 患者数 平均術前日数 平均術後日数 転院率 平均年齢
K617-4  下肢静脈瘤血管内焼灼術 17 0.00 1.00 0.00 73.88
K0301 四肢・躯幹軟部腫瘍摘出術(躯幹) 等 12 0.83 2.00 0.00 57.67
K0072 皮膚悪性腫瘍切除術(単純切除) 12 0.33 5.17 0.00 77.75
K2191 眼瞼下垂症手術(眼瞼挙筋前転法) 12 0.00 1.00 0.00 79.58
K0063 皮膚,皮下腫瘍摘出術(露出部以外)(長径6センチメートル以上,12センチメートル未満) 11 0.91 2.09 0.00 60.91

形成外科では下肢静脈瘤手術(血管内焼灼術)を多く行なっています。下肢の大・小伏在静脈弁の機能不全によって起こる一次性の静脈瘤に対して行なわれる手術です。四肢・躯幹軟部腫瘍摘出術は四肢・躯幹の良性腫瘍で皮下より深いところの軟部組織内に位置するものを切除する手術です。また、皮膚の悪性腫瘍に対する切除術を行なっています。皮膚の悪性腫瘍には基底細胞がん、有棘細胞がん、悪性黒色腫、ボーエン病、パジェット病があり、頭から足先まであらゆる場所に発生します。これらの腫瘍に対して全身麻酔または局所麻酔下に切除し、皮膚が大きく欠損した場合には植皮術や皮弁形成術を行ない、整容面に配慮して創部を閉鎖しています。眼瞼下垂症(先天性・老人性)は上瞼が十分に開けられず、前を見たときに上瞼が黒目を被っている状態です。眼瞼下垂症手術(眼瞼挙筋前転法など)により加療しています。また、身体の様々な部位に生じた皮膚・皮下腫瘍に対して皮膚・皮下腫瘍摘出術を施行しています。

脳神経外科

Kコード 名称 患者数 平均術前日数 平均術後日数 転院率 平均年齢
K164-2 慢性硬膜下血腫穿孔洗浄術 等 122 0.11 2.31 4.92 77.04
K1781 脳血管内手術(1箇所) 42 0.40 20.26 28.57 59.69
K1643 頭蓋内血腫除去術(開頭して行うもの)(脳内のもの) 30 0.27 29.40 86.67 57.90
K178-4 経皮的脳血栓回収術 25 0.24 27.88 64.00 74.20
K1692 頭蓋内腫瘍摘出術(その他のもの) 20 5.00 19.25 15.00 70.30

頭部外傷後、数週間から数ヶ月程の間に、頭蓋骨と脳の間にできた血腫を慢性硬膜下血腫といいます。慢性硬膜下血腫穿孔洗浄術は、頭蓋骨に孔を開け血腫を抜き出し、洗浄とドレナージを行う手術で、多くは早期に回復し短期間で退院できます。脳血管内手術は、脳血管内手術用カテーテルを用いて脳動脈瘤(脳の動脈が瘤状に膨れた状態のこと。破裂すると、くも膜下出血になる)などを治療する手術です。頭蓋内血腫除去術は、外傷による頭蓋内出血(急性硬膜下血腫など)や、高血圧による脳出血を除去する手術です。

呼吸器外科

Kコード 名称 患者数 平均術前日数 平均術後日数 転院率 平均年齢
K514-23 胸腔鏡下肺悪性腫瘍手術(肺葉切除又は1肺葉を超えるもの) 29 1.34 4.72 0.00 69.17

K5131

胸腔鏡下肺切除術(肺嚢胞手術(楔状部分切除によるもの))

21 3.76 2.43 0.00 31.24
K514-22 胸腔鏡下肺悪性腫瘍手術(区域切除) 10 1.90 4.50 0.00 71.90
K514-21 胸腔鏡下肺悪性腫瘍手術(部分切除) - - - - -
K5143 肺悪性腫瘍手術(肺葉切除又は1肺葉を超えるもの) - - - - -

胸腔鏡下肺悪性腫瘍手術は、全身麻酔下において皮膚小切開を経て、胸腔にポートを挿入し、必要に応じ肺の牽引や把持の為の器具を挿入しながら悪性腫瘍を切除する手術です。気胸等の手術でも同様ですが、胸腔鏡下での利点としては低侵襲的であり、術後の疼痛が少ないため早期回復が期待でき、入院日数が短縮できる事です。手術の方法や肺がんの病状によっては、開胸手術を選択する場合もあります。

心臓血管外科

Kコード 名称 患者数 平均術前日数 平均術後日数 転院率 平均年齢
K5522 冠動脈、大動脈バイパス移植術(2吻合以上) 12 11.92 17.17 0.00 71.42
K5612ロ ステントグラフト内挿術(腹部大動脈) - - - - -
K5607 大動脈瘤切除術(吻合又は移植を含む。)(腹部大動脈(その他のもの)) - - - - -
K5612イ ステントグラフト内挿術(胸部大動脈) - - - - -
K5551 弁置換術(1弁のもの) - - - - -

冠動脈、大動脈バイパス移植術は、狭心症や心筋梗塞の原因となる狭窄や閉塞した冠動脈の先に、他の箇所から採取した自己の血管を移植する事で迂回路を形成する手術です。他には、胸部や腹部の大動脈がこぶ状に膨らむ大動脈瘤に対しての血管内治療として、ステントグラフト内挿術を行っています。ステントグラフト内挿術とは大腿動脈などの末梢血管から人工血管(グラフト)にバネ状の金属(ステント)を組み合わせた器具を用いてカテーテル操作により挿入し、動脈瘤を血管の内側から治療します。

泌尿器科

Kコード 名称 患者数 平均術前日数 平均術後日数 転院率 平均年齢
K8036イ 膀胱悪性腫瘍手術(経尿道的手術)(電解質溶液利用のもの) 102 1.60 4.07 1.96 76.89
K783-2 経尿道的尿管ステント留置術 38 0.34 5.47 5.26 69.50
K7811 経尿道的尿路結石除去術(レーザーによるもの) 30 2.57 3.97 0.00 63.73
K773-2 腹腔鏡下腎(尿管)悪性腫瘍手術 24 1.08 8.08 0.00 71.00
K7981 膀胱結石摘出術(経尿道的手術) - - - - -

泌尿器科では膀胱腫瘍に対する経尿道的手術(TUR-BT)を多く実施しています。TUR-BTは、特殊な内視鏡を尿道から膀胱内へ入れて先端に付いた電気メスで膀胱の腫瘍を削ぎ取る手術です。腫瘍数や大きさ・病理学的悪性度を考慮して、再発予防のために抗がん剤を行ないます。次いで、尿管結石により尿の流れが悪くなり腎臓に尿が貯留する水腎症に対するステント留置術、尿管結石に対する経尿道的尿路結石除去術を実施しています。その他、腎・尿管腫瘍に対する腹腔鏡下手術を実施しています。腹腔鏡下手術は内視鏡を使用し小切開を加えて行ないます。開腹術と比較した場合に切開が小さいため、術後の痛みの軽減・早期離床・入院期間の短縮・出血量の減少などの利点があります。

眼科

Kコード 名称 患者数 平均術前日数 平均術後日数 転院率 平均年齢
K2821ロ 水晶体再建術(眼内レンズを挿入する場合)(その他のもの) 268 0.00 1.00 0.00 77.65
K2686 緑内障手術(水晶体再建術併用眼内ドレーン挿入術) 44 1.00 1.00 0.00 78.32
K2822 水晶体再建術(眼内レンズを挿入しない場合) - - - - -
K2682イ 緑内障手術(流出路再建術)(眼内法) - - - - -

水晶体再建術(眼内レンズを挿入する場合)は、水晶体の混濁により視力が低下する白内障に対して、混濁した水晶体を取り除き人工の眼内レンズを挿入する手術です。令和4年10月より、緑内障手術(水晶体再建術併用眼内ドレーン挿入術)を実施しています。この手術は線維柱帯マイクロバイパス(iStentW)という眼圧を下げる効果をもつチューブを眼内に留置することで眼圧を低下させる手術法で白内障の手術と同時に行います。

産婦人科

Kコード 名称 患者数 平均術前日数 平均術後日数 転院率 平均年齢
K8654 子宮脱手術(腟壁形成手術及び子宮全摘術(腟式、腹式)) 24 1.71 5.46 0.00 74.88
K8882 子宮附属器腫瘍摘出術(両側)(腹腔鏡によるもの) 22 1.18 4.50 0.00 43.18
K872-31 子宮内膜ポリープ切除術(電解質溶液利用のもの) 15 1.00 1.40 0.00 45.53
K879 子宮悪性腫瘍手術 14 1.71 7.07 7.14 62.50
K877-2 腹腔鏡下腟式子宮全摘術 12 1.08 4.33 0.00 57.25

子宮脱手術とは、骨盤臓器脱(子宮脱、膀胱瘤等)に対して行う手術です。骨盤臓器脱は骨盤低筋群と呼ばれる筋肉や靱帯が弱くなることで発症することが多く、年齢を重ねることや出産経験後、体重過多、長期間の便秘などが原因となっています。当院では子宮脱に対しての手術が最も多く、子宮を摘出し、その切除術部分を骨盤の奥にある靱帯に縫い付け、膣の前後の壁を縫い縮める方法の手術です。子宮附属器腫瘍摘出術は主に卵巣腫瘍に対して行う手術です。「子宮付属器」とは卵巣・卵管を指し、悪性が疑われるがまだ初期であると考えられる場合や、腫瘍が茎捻転(腫れた部分がねじれた状態)を起こしている場合、あるいはほとんど正常な部分を残せないほどに大きく発育した場合などで行うことが多い術式です。また、子宮内膜症(子宮内膜組織、あるいは類似組織が子宮外の骨盤内で発育・増殖する疾患)に対する根治、温存手術もこの術式にて行っています。その他に子宮内腔に発生したポリープの切除術や子宮平滑筋腫に対して子宮全摘術等を行っています。

耳鼻咽喉科

Kコード 名称 患者数 平均術前日数 平均術後日数 転院率 平均年齢
K340-6 内視鏡下鼻・副鼻腔手術4型(汎副鼻腔手術) 15 1.00 4.73 0.00 54.60
K340-5 内視鏡下鼻・副鼻腔手術3型(選択的(複数洞)副鼻腔手術) 13 1.00 4.92 0.00 59.38
K3772 口蓋扁桃手術(摘出) 12 1.50 7.25 0.00 39.08
K3191 鼓室形成手術(耳小骨温存術) - - - - -
K4611 甲状腺部分切除術(片葉のみの場合) - - - - -

耳鼻咽喉科では慢性副鼻腔炎に対して内視鏡を鼻孔に挿入し、副鼻腔の隔壁の切除や自然口の拡大を行ない、鼻腔への交通路を拡大し、粘膜の温存を図る内視鏡下鼻・副鼻腔手術を多く施行しています。また、口蓋扁桃摘出術を行っています。口蓋扁桃摘出術は、反復する急性扁桃炎や慢性扁桃炎に起因するIgA腎症などに対して行なわれます。口蓋扁桃を前後の口蓋弓粘膜から剥離し、摘出する手術です。

その他(DIC、敗血症、その他の真菌症および手術・術後の合併症の発生率)

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DPC

傷病名

入院契機

症例数

発生率

130100

播種性血管内凝固症候群

同一

- -

異なる

11 0.10

180010

敗血症

同一

27 0.24

異なる

96 0.87

180035

その他の真菌感染症

同一

- -

異なる

- -

180040

手術・処置等の合併症

同一

36 0.32

異なる

17 0.15

この指標は、医療の質の改善に資するため、臨床上完全になくすことはできないものの、少しでも改善すべきものとして、播種性血管内凝固症候群(DIC)、敗血症、その他の真菌症、手術・処置等の術後の合併症について、医療資源最病名(入院期間中に医療資源を最も投入した病名)が入院契機病名(入院のきっかけとなった病気)と同一の病名か、異なる病名かを区別して、対象患者数と請求率を示したものです。「同一な」とは、入院契機病名が上の表に掲げた病名であり、なおかつ、医療資源最病名も同一の病名である場合を表します。「異なる」とは、入院契機病名が上の表の病名と異なる場合を表します。手術・術後の合併症については内訳を別記します。
感染が原因で重篤な全身症状を呈した病態を敗血症と言います。重篤な肺炎や急性腎盂腎炎、消化管穿孔等により敗血症となった症例が見られます。入院当初から敗血症の状態である症例だけでなく、原疾患への加療にもかかわらず、全身状態の悪化により入院後に敗血症に至る症例もあります。当院は、重篤な症例を数多く受入れる救命救急センターを有しており、他院で重篤な状態になった症例を受入れていることもあり、敗血症の症例数が比較的多くなっています。手術・術後の合併症は、手術や処置を行った場合に、その手技に関連して発症する病態を言います。手術創部に感染が起きたり膿瘍が形成される創部感染、股関節・膝関節の人工関節置換術後に機械的な合併症として発症する人工関節脱臼等が挙げられます。これらの合併症が起こらないよう十分注意を払っておりますが、臨床上完全になくすことはできません。医師が手術や処置の説明をする際に、起こりうる合併症についても説明しており、また、説明・同意書にも記載しております。

手術・術後の合併症の内訳

  • 後出血
  • 術後血腫
  • 術後出血
  • 術後漿液腫
  • 生検後出血
  • 術中損傷
  • 内視鏡検査中腸穿孔
  • 手術創離開
  • カテーテル感染症
  • 左人工骨頭術後感染症
  • 手術創部膿瘍
  • 術後感染症
  • 術後創部感染
  • 右下腿デブリードマン後皮膚欠損創
  • 術後穿孔
  • 術後瘻孔形成
  • 植込型カテーテルポート閉塞
  • 造影剤ショック
  • ペースメーカ植え込み後感染症
  • 植込型除細動器植え込み後感染
  • 中心静脈カテーテル感染症
  • 血管グラフト閉塞
  • カテーテル関連尿路感染症
  • 右人工股関節脱臼
  • 右人工膝関節のゆるみ
  • 左人工股関節脱臼
  • 体内関節プロステーシスの機械的合併症
  • 頭蓋骨固定物の突出
  • 右人工股関節感染
  • 左人工股関節感染
  • VPシャント機能不全
  • 右乳房異物・挿入物合併症
  • LPシャント機能不全
  • VPシャント感染症
  • 右乳房エキスパンダー感染

リスクレベルが「中」以上の手術を施行した患者の肺血栓塞栓症の予防対策の実施率

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肺血栓塞栓症発症のリスクレベルが
「中」以上の手術を施行した
退院患者数(分母)
分母のうち、肺血栓塞栓症の
予防対策が実施された患者数(分子)
リスクレベルが「中」以上の手術を
施行した患者の肺血栓塞栓症の
予防対策の実施率
1304 1181 90.57

肺血栓塞栓症は、主に下肢の深部にできた血栓(深部静脈血栓)が剥がれ、血流によって肺動脈に運ばれることで閉塞を引き起こす疾患です。太い血管が閉塞する重篤例では、肺の血流が途絶して死に至ることもあります。寝たきりの状態や手術時・手術後、脱水状態、下肢の骨折で動けないとき、高度肥満などで深部静脈血栓ができやすくなります。発症に至る前に、発症の危険レベルに応じた予防対策の実施が推奨されています。
予防方法として、圧迫ストッキングや弾性包帯を使用して下肢の深部静脈の流れを促す方法や間欠的空気圧迫装置により足や下腿に巻いたバッグに空気を送り込み圧力を変化させる方法を用いています。また、抗血栓剤の投与、下大静脈フィルターの留置などを行う場合もあります。

血液培養2セット実施率

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血液培養オーダー日数(分母) 血液培養オーダーが1日に
2件以上ある日数(分子)
血液培養2セット実施率
3406 2398 70.41

皮膚や粘膜、臓器の感染巣から細菌が血中に入り(菌血症)、全身に広がって、重症化する細菌感染症を敗血症といいます。敗血症の診断には血液培養により起因菌を検出する必要があります。血液培養は別々の部位から2セット以上採取することが推奨されています。2セット以上採取することにより皮膚にいる常在菌の混入の有無について判断でき、また血液内の細菌は全身にくまなく存在するわけではなく、1セット採取ではわからない場合があるためです。当院では血液培養は2セット以上の採取を原則としていますが、診療科により1セットの場合もあります。(会計システムエラーの影響により、実際より低い実施率となっています)

広域スペクトル抗菌薬使用時の細菌培養実施率

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広域スペクトルの抗菌薬が
処方された退院患者数(分母)
分母のうち、入院日以降抗菌薬処方日
までの間に細菌培養同定検査が
実施された患者数(分子)
広域スペクトル抗菌薬使用時の
細菌培養実施率
566 547 96.64

あらゆる原因菌に対して効果がある抗菌薬を広域スペクトル抗菌薬と言います。広域スペクトル抗菌薬を多用した場合、抗菌薬が効きにくい耐性菌(多剤耐性アシネトバクター属菌、カルバペネム系抗菌薬に耐性のある細菌など)が増加する恐れがあります。原因菌が判明した後は最適な抗菌薬に速やかに変更することが求められます。抗菌薬の適切な使用にあたっては、血液、痰、尿などの検体から原因菌を明らかにすることが必要となります。当院では抗菌薬適正使用支援チーム(AST)により抗菌薬適正使用を推進する取り組みを行っています。

更新履歴

2024年9月30日 病院情報を公開しました。
2023年9月29日 病院情報を公開しました。
2022年9月29日 病院情報を公開しました。
2021年9月29日 病院情報を公開しました。
2020年9月30日 病院情報を公開しました。
2019年9月30日 病院情報を公開しました。
2018年9月28日 病院情報を公開しました。
2017年9月29日 病院情報を公開しました。
2016年9月30日 病院情報を公開しました。