(2018/08/02 up)
近年、抗菌薬が効かない薬剤耐性(AMR)を持つ細菌が世界中で増えています。2013年薬剤耐性に起因する死亡者数は低く見積もって70万人とされています。何も対策を講じない場合、2050年には世界で1000万人の死亡が想定され、がんによる死亡者数を超える、とした報告があります。このような状況を踏まえて、薬剤耐性(AMR)対策が昨今注目されています。その大きな理由に、2016年4月に日本政府が発表した薬剤耐性(AMR)アクションプランがあります。このアクションプランの背景には世界的に薬剤耐性(AMR)対策に取り組もうという大きな流れがあります。
災害医療センターでは、2018年4月新たにASTが設置されました。ASTは、院内薬剤耐性の推進、感染症の治療の早期モニタリングとフィードバック、微生物検査、臨床検査の利用の適正化、抗菌薬適正使用に係る評価、抗菌薬適正使用の教育と啓蒙等を行うことにより抗菌薬の適切な使用を推進することを目的に設置されたチームです。ASTメンバーは、チーム長の第一外来部長、感染制御医(ICD)、感染管理認定看護師、薬剤師、臨床検査技師により構成しています。当院では、医師、薬剤師、臨床検査技師は感染制御チーム(ICT)と兼任ですが、感染管理認定看護師1名がAST専従として活動しています。
ASTは、感染症治療の早期モニタリングと主治医へのフィードバッグ、抗菌薬適正使用に関わる評価、抗菌薬適正使用の教育・啓発、院内で使用可能な抗菌薬の見直し、微生物検査・臨床検査の利用適正化、抗菌薬の適正な使用を目的とした年2回程度の職員研修、院内の抗菌薬使用に関するマニュアルの作成、他の医療機関から抗菌薬適正使用の推進に対する相談対応等を行っています。ご紹介頂いた患者様の感染コントロール、ひいては地域の耐性菌の出現の制御に微力ながらもお役に立てればと考えております。どうぞよろしくお願いいたします。