(2017/11/30 up)
・どういう病気?
糖尿病では膵臓で作られるインスリンの不足や作用不足が原因で血液中のブドウ糖が細胞内に十分に取り込まれず血糖値が高くなります。
血糖値が高くなっても糖尿病の初期の段階では自覚症状が乏しい場合が多く、糖尿病の初期の段階では高血糖を自覚する事は困難です。
しかしそのまま放置しておくと血糖値はさらに上昇し典型的な急性期の症状として・のどの渇き ・飲水量や尿量の増加 ・体重減少等の症状が出現します。
しかし、糖尿病で主に問題になるのは眼、腎臓、神経系の慢性合併症で失明や腎不全、足壊疽の原因になるだけでは無く、心筋梗塞や脳梗塞等のリスクが高くなることが知られています。
・甘いものを食べると発症する?
糖尿病と言う名前から甘いものが原因になりやすい印象を受けますが、糖尿病の95%以上を占める2型糖尿病は過剰なカロリー摂取による肥満が主な原因です。
糖尿病の患者さんは食事療法が必須ですが、甘いものや炭水化物の制限といった一部の食品の制限をする事よりもバランスの取れたカロリー制限が重要です。
・肥満が原因?
肥満は糖尿病の大きなリスクです。近代社会において肥満人口の増加が糖尿病患者の増加の原因と考えられています。
但し主に小児に認められる1型糖尿病では発症の機序が異なるため、むしろ痩せている患者さんが多くなります。
・予防法は?
糖尿病発症の要因は遺伝、環境、肥満など多岐にわたります。現代社会において糖尿病発症のリスクはカロリーの過剰摂取、運動不足と考えられています。
食べ過ぎによる肥満の予防、適切な運動の継続が糖尿病発症予防に重要です。
・どういうときには薬が必要?
糖尿病の治療の基本は食事療法です。軽症の場合には食事療法のみでコントロール可能ですが、食事療法では十分な効果が得られない場合、
中等度以上の糖尿病の場合は薬物療法が必要になります。薬物療法は内服薬やインスリン、GLP-1の注射など選択肢は多岐にわたります。
但し1型糖尿病や2型糖尿病でもインスリン分泌が不充分な場合はインスリンの注射が必須です。どの様な治療が適しているか主治医とよく相談して下さい。
・何が怖い病気?
極端な高血糖の状態になるとのどの渇き・飲水量や尿量の増加・体重減少等の症状に加えて意識障害を来す場合もありますが、
こうした急性期症状の他に怖いのは慢性期の合併症です。代表的な慢性期の合併症として眼、腎臓、神経系の合併症が知られています。
眼症は失明の原因となり、腎障害は腎不全から人工透析が必要になる場合もあり実際に本邦では約20年前から人工透析の原因の1位を糖尿病が占めています。
神経障害は足壊疽の原因になるだけでは無く、手足のしびれや痛み、自律神経障害など全身の神経障害を起こします。
その他、動脈硬化の原因となり心筋梗塞や脳梗塞等のリスクが高くなることが知られています。近年の研究でがんや認知症のリスクも高いことが分かってきました。
・毎日の生活での注意は?
血糖値が高めと言われている場合、過剰なカロリー摂取を控えること、適切な運動が発症予防には重要です。
一日の摂取カロリーに関しては主治医の指示に従って下さい。食事療法ではバランス良く色々な食品を摂取すること、
間食、飲酒は控えること、規則正しい食事時間を守る様心掛けて下さい。併せて適度な運動も重要です。
但し運動自身で消費できるカロリーは思いほか少ない事も覚えておいて下さい。内服薬や注射薬を使用している場合主治医の指示通り使用する事が重要です。
・こうなったら救急車を呼ぶ
極端な高血糖で意識障害を来している場合や糖尿病の治療中に低血糖を来たし経口摂取が出来ない場合は病院での処置が必要なので救急車の依頼をすると良いでしょう。
糖尿病・内分泌内科