現地時間2008年5月12日14時28分頃、中華人民共和国中西部に位置する四川省でマグニチュード7.9~8.0の
世界最大級の規模を示す直下型大地震が起きました。多くの死者、負傷者をだしたこの地震に対して、
日本政府は中国政府の要請を受け、2008年5月20日、国際緊急援助隊(JDR)医療チーム(23名)を派遣することを決めました。
医療チームにおいて、今回の派遣では『被災地に赴き、テントを建てて診療する』という活動は行わず、
被災地から少し離れた成都市にある四川大学華西病院に『病院支援をすることによる被災者支援』を行いました。
これは中国側と協議した結果、すでに中国側による広域搬送や支援が確立していたため、被災地や
収容先で重篤化した被災者を広域搬送先として受け入れている四川大学華西病院に活動拠点を置く事がより
多くの被災者救済につながるのではないかと考え,派遣場所を決定しました。
5月20日夜に日本を発ち、ミーティングを重ねて5月22日に華西病院に派遣となりました。華西病院では広域
搬送による多くの傷病者を受け入れていたため,地震による骨折,クラッシュ症候群の患者様をはじめとした
様々な被害を受けた患者様であふれていました。
院内で活動開始するにあたって、救急外来、ICU、 産科、小児科、透析室のグループに分かれて活動を行い
ました。その後個人の能力を十分に発揮できる専門分野での活動依頼をうけ、放射線科・被災者用ICU・広域
搬送付き添い・薬剤科など活動分野が更に広がりました。これにより、日本のJDR医療チームの能力を最大限に
発揮することができたと思われます。
診療放射線技師として放射線科での活動内容は主に骨折や手術後の患者様のレントゲン撮影を行ってきました。
患者様も手を握って涙を流しながらお礼を言ってくれたり、中国語ばかりでなく、日本語や英語で積極的に話し
掛けてきてくれました。また、最初は中国人スタッフも仕事を通じてだんだんと交流することができ,互いに
協力して検査をすることができました。
院内活動は5月31日に終了,6月1日に機材の引渡しを行い,6月2日に帰路につきました。結果的には、チーム
全体ではおよそ1400名の患者様に、診療放射線技師としてはおよそ730名の患者様に携わることができました。
このほとんどは被災者の方で、被災地に行くよりも多くの患者様に接することができたのではないかと考えられます。
また,人的支援だけではなく、日本の高い医療技術に関心を持つ中国側のスタッフが多く、日本から無償で
提供した9台を含む透析装置を用いた活動、日本式の看護ケアやX線撮影技術・患者移動方法を中国人スタッフ
に助言、ギブスカッターの使用方法を指導するなどの、技術支援という面でも大いに貢献できたと考えられます。
逆に日本も中国の広域搬送に関心をもちました。中国の広域搬送はとても進んでいて、日本も参考にする点が
多くありました。
患者様以外にも日本の本部テントに訪れてくださる方が多く、一緒に写真をとったり、差し入れを頂いたり
しました。日本に対する感謝の意が伝わってくる出来事が多く、医療チームの励みになりました。